2020年1月24日(金) 同盟基督教団 中野教会にて
2020年1月24日(金) 同盟基督教団 中野教会にて聖書と精神医療研究会の理事会および研究会が開催されました。
研究会では河村冴理事が、「『不安神経症』と共に生きる」というテーマで発表し、意見交換の時を持ちました。発表内容の一部を紹介いたします(編集・文責:浜田)
ベタニアのラザロを題材に
よく「奉仕にいそしむマルタ」「静かに御言葉に耳を傾けるマリヤ」の姿が対比されます。「マルタタイプ」「マリヤタイプ」と区分されることもあります。しかし二人の兄弟である「ラザロ」が脚光をあびることはほとんどありません。確かに福音書の中でラザロの発言は一つも記されていません。
ヨハネ11章等から推察できるラザロの人物像
「信仰者のコミュニティに身を置きながら、身体が病弱だった故に、自らのキャラクターを発揮することができず、結果として目立った発言をする機会を持てなかった人物」
現代におけるラザロ
教会やクリスチャンホームで養われながら、おとなしく、自己主張を控え、内に引きこもるタイプの存在だったのかもしれません。
イエスはそんなラザロを愛し、死に際しては涙を流し、復活(救い)の恵みを与えてくださいました。
コミュニケーション能力が重要視される現代において、ラザロタイプの人(社会不安障害の傾向のある人)は社会においても教会においても居場所を見出すことが困難です。
教会には配慮が求められています。
また、当人においては「認知行動療法的なアプローチ」も必要かもしれません。
認知の再構成・認知行動療法
否定的で偏った思い込み(認知)がある場合、その認知の歪みを再構成していく必要があります。不安をもたらす思考パターンにある歪みや癖を変え、再構成し、思考パターンを変化させていく事が「認知再構成」であり、そこに具体的な行動パターンの改善を実施していくことが「認知行動療法」となります。
ラザロの認知再構成
イエスによって復活したラザロは「その後、過越祭りの六日前に家族で行った食事の際にイエスと一緒に席についていた」と聖書は記しています(ヨハネ12:2)。
相変わらずラザロ自身の発言は記されていませんが、彼がイエスを中心としたコミュニティの中に留まっていたことは確かです。
復活したラザロを見るために大群衆が家を訪ねました。それを知った祭司長たちがラザロの命を狙おうとしたわけですが(ヨハネ12:10)、彼は好奇の目に晒されることを耐えることができました。
「これまでのラザロは、イエスが訪問した時もその姿が記録されない程に影が薄く、コミュニティの辺縁に留まっていたと思われますが、自身の復活事件をとおして 『イエスが共に居る』ということであるならば、殺害によって『死』を招くことすらも恐れるに足らないと不安を除去し、堂々とコミュニティの中心に座っても大丈夫であるという認知の再構成をすることができたと言えるのかもしれません」
※学びの詳細はこの秋発行のジャーナルに掲載予定です。